実際にWacom IntuosシリーズをChromebookに接続してみると、USBであれば差し込むだけ、Bluetoothならばペアリングが完了すれば、すぐに使えるようになる。その簡単さは、まさにワコムがシームレスと表現するだけのことはある。ペンタブレットの読み取り可能範囲は、Smallが152×95mmで、Mediumが216×135mmとなる。10インチ未満のChromebookならば、Smallでも十分に大きなストロークで描ける。また、本体の上部には、ペンを置けるペントレイを兼ねて、ショートカットキーを割り当てられる四つのエクスプレスキーと電源が並ぶ。ペンそのものは、本体にある専用のベルトに差し込んで持ち運べるようになっている。
筆者は、3種類のChromebookを使っているが、ペンタブレットに適しているのは、クラムシェル型だと感じた。タブレット型のChromebookでは、画面を固定するための器具が別途に必要となり、使い勝手が良くなかった。クラムシェル型か2in1のChromebookであれば、画面の前にペンタブレットを置いて便利に使える。
また、Chromebookのタッチ操作との比較だが、メニューを選ぶだけの操作であれば、あえてペンを使う必要はないと思う。だが、メニューを選び、描画画面で図形を描くとなると、タッチパネルでは思うように作業ははかどらない。画面の上に手を重ねてしまうと、下の図形が見えなくなる。そうかといって、クラムシェル型や2in1をタブレットのように平らにして使おうとすると、キーボードが邪魔になり、脱着の手間もかかる。それに対して、ペンタブレットならばマウスをつなぐような手軽さでペン入力が行える。Wacom Intuosシリーズは紙にペンで書くような質感を実現しているので、手元を見ることなく画面に集中してペンを動かせる。純粋な手書きの感覚と比べると、最初は若干の違和感を覚えるが、慣れてくるとむしろ視線を画面に集中したまま手を動かせるので、下を向いたままペンを動かすよりも作業の効率はよくなる。
Wacom Intuosシリーズは、タブレットの画面にペンを置く操作とは、全く異なる次元のペン操作を提供してくれる。その使用感に慣れてしまうと、むしろ手放せなくなるだろう。特に、作図やプレゼンテーション用のスライドを多く作る人であれば、Chromebookでの作業効率をかなり改善できるはずだ。こうした使い勝手の良さを伝えることができれば、Chromebookの商材として十分に魅力的な製品であり、クリエイティビティのある新しい働き方の提案にもつながるだろう。