マイクロソフトは新型ゲーム機 Xbox Series X|S の新機能「FPSブースト」を本日より提供します。
FPSブーストは、前世代のXbox OneゲームをXbox Series X|Sの下位互換機能で遊ぶ際、FPS (画面の描画コマ数)を倍増させ滑らかにする機能。
本来は上限30fps(一秒間に30コマ)だったゲームが60fpsでヌルヌル動いたり、ゲームによってはXbox Series X|Sで初めて可能になった120fpsにまで対応します。
FPSブースト対応タイトル第一弾
第一弾の対応タイトルとして発表されたのは5作品。うち New Super Lucky's Taleは、対応テレビやゲーミングモニタとの組み合わせならば120fpsで駆動します。
最新世代ゲーム機とFPSといえば、プレイステーション5で遊ぶゴースト・オブ・ツシマや God of Warなど、対応パッチを通じて60fpsが有効になったり、発売当初は「4K 30fpsのグラフィックモード」または「フルHD 60fpsのパフォーマンスモード」の二者択一だったゲームが、最適化パッチで4Kと60fps両立に対応したニュースを最近よく耳にします。
しかし「FPSブースト」はシステム側の機能であるため、元ゲームの開発者がパッチを作成したり、プレーヤーがアップデートを適用する必要はありません。対応タイトルでは何もせずにFPSブーストの恩恵を受けられます。
本体アップデートでFPSブースト・Auto HDRの個別設定に対応
近日中のXboxシステムアップデートでは、下位互換機能でゲームを遊ぶ際のオプション設定メニューが加わります。
ホーム画面などでゲームのタイル(アイコン)を選択した状態でメニューボタンを押し、「ゲームとアドオンを管理」を選ぶと、「アンインストール」の下に新しい互換オプションメニューがあり、そちらからタイトルごとにFPSブーストやオートHDRの有効・無効を選択できるようになります。
現在遊んでいるゲームでFPSブーストが有効かどうかは、ゲーム中にホームボタンを押して、画面右上に「+ FPS Boost」と表示されるかどうかで確認できます(近日中の本体アップデート後。それまでは有効でもまだラベルがありません)。
マイクロソフトに訊いてみました
FPSブースト機能について、もう少し詳しくマイクロソフトに訊いてみました。
Q. FPSブーストの具体的な手法について
下位互換機能を開発するなかで、Xbox Series X|Sの高性能から、Xbox Oneタイトルでは画面の描画に必要な時間が大幅に短くなり、次フレームまでアイドル状態が続くことが多いと判明した。FPSブーストはこの余力を使い、オリジナルのゲームエンジンに本来よりも多くのフレームを描画させる原理。複数の手法を組み合わせて実現している。
Q. FPSブーストが有効なゲーム・有効にできないゲームの違い
元のゲームがどのように書かれているか、内部クロックの扱いによってFPSブーストが可能な場合・不可能な場合がある。たとえば仮にFPSブーストでフレーム数を倍増しても、キャラクターのアニメーションまで二倍速になってしまったり、物理シミュレーションが破綻するなどの場合は非対応になる。
FPSブーストが可能と判明した場合、まずマイクロソフト側で徹底したテストを実施し、ゲームに悪影響がないか、元々の意図を損なわないかを確認する。このテストを通過できたら、次はゲームのパブリッシャーがFPSブーストの効果を評価できるようにし、オリジナルのゲームの意図どおりになっていることを確認する。
Q. レイテンシについて
(ゲームエンジン自体を早く回す手法なので) 入力レイテンシや応答速度には悪影響がない。FPSブーストを有効にしても入力遅延などの問題が発生しないかどうか、マイクロソフト側で徹底したテストを実施し、クリアしたものだけがFPSブースト対応になる。
(編注:テレビの「倍速モード」のように、前後フレームから中間フレームを生成して挿入する手法では原理的に内部処理から表示までの遅延が発生する。FPSブーストは描画結果から中間フレームを生成するのではなく、ゲームエンジン自体により多くのフレームを描画させている)
Q. Xbox 360 や初代 Xbox タイトルについて
現時点では、FPSブーストはXbox Oneタイトルでのみ有効。Xbox 360 や初代Xboxについても適用できないか検討を続けるが、現時点で発表できることはない。
Q. FPSブーストやAuto HDR、ネイティブ4K化など下位互換タイトルのグレードアップ機能はどれも魅力的なだけに、もっと多くのゲームを互換機能で遊びたくなる。特に日本のデベロッパー / パブリッシャーの過去作など、タイトル自体の拡充については
現時点で発表できることはないが、新しい下位互換タイトルについては常に検討を続けている。