グローバルで15万円超…日本ではいくらになることか。
Samsung(サムスン)の最強フラッグシップスマホ、Galaxy S20シリーズが発表されました。最安でも1,000ドル(約10万8000円)からと強気の価格設定ですが、中でもすごいのが1,400ドル(約15万円)のGalaxy S20 Ultra。15万円は妥当なのかどうか、米GizmodoのSam Rutherfordが使い込んでレビューしています。以下どうぞ!
巨大な6.9インチ120Hzスクリーンと猛獣みたいなスペック、5Gサポート、1億画素超えのカメラ、Space Zoomレンズ、8K動画撮影を搭載したSamsung Galaxy S20 Ultra(以下S20 Ultra)は、究極のパワーハウスです。事実上、スマホに求められるすべてが詰まっているといっても過言ではありません(ただしヘッドホンジャックを除く)。
スタイラス命!って人はそう思わないかもしれませんが、S20 Ultraは1,100ドル(約12万円)のNote 10+をもミッドレンジ端末のように感じさせます。価格さえ考えなければ、S20 Ultra以外のスマホは選べないと思うほどです。
でも価格が意味をもたないなんて、普通の人の生きる世界じゃありえません。S20 Ultraについての感じ方は、15万円をどう見るかで変わってきます。15万円とは多くの人にとって、1カ月の家賃だったり、ナイスなバケーションだったりするわけです。「スマホが10万超えた」って嘆いてたのに、そのはるか頭の上をかるーく超えてきたんです。そんなお値段なりの価値を本当に感じることができるのか、使い込んでレビューしてみました。
Samsung Galaxy S20 Ultra
これは何?:100倍のSpace Zoom搭載、Samsungの超プレミアムスマホ。価格:1,400ドル(約15万円)好きなところ:怪物的スペック、10倍ロスレスズーム、巨大で美しいディスプレイ、写真のツールキットの豊富さ、強力なバッテリーライフ、5Gの全バージョンサポート好きじゃないところ:本当に高すぎる、100倍ズームにすると写真が印象派になる、ヘッドホンジャックがない
6.57 x 2.99 x 0.35インチ(166.9 x 76.0 x 8.8mm)のS20 Ultraは重量7.83オンス(220グラム)で、ばかでかいスマホには違いありません。でもダテにでかいわけじゃなくてそのサイズ分いろんな良いものが入ってるわけだし、しかも横幅は6.39 x 3.04 x 0.31インチ(162.3 x 77.2 x 7.9 mm)のNote 10+より若干狭いです。
S20 Ultraを大きく感じさせているのは、その厚さと重さです。ほんの数ミリ、数グラムの違いは大したことなさそうに感じるかもしれませんが、実際にスマホを手にして文字をタイプしようとしているときは、とくに手の小さい人には重大な問題になります。
とはいえスマホ全体が、2011年にGalaxy Noteが5インチの壁を超えて以来、大型化の一途をたどっています。なので6.9インチのS20 Ultraを「大きすぎる」と断じるのは近視眼的すぎるのかもしれません。たしかにかさばり感は否めませんが、S20 Ultraのスクリーンの美しさを見ると、大きいことはいいことだ、とつい感じてしまいます。
画面以外のデザインは、驚くほどあっさりしています。背面の巨大なカメラモジュールではクアッドカメラが目を引き、その下にペリスコープズームも見えますが、見た目的に美しいってものでもありません。でもここ最近Samsungが推してきた曲面ガラスがS20 Ultraでは使われてないので、丸っこいスマホ否定派の人にはうれしいと思います。
そんなわけでS20 Ultraは機能重視なデザインなんですが、そのせいで値段相応に見えないのは残念なとこです。たとえばGalaxy S8はSamsungスマホ随一の美しさだったと思うんですが、それに比べるとS20 Ultraはカラバリも黒とグレーしかなくて無骨です。
DNA的には通じるものの、Samsungのガラスとアルミの素材が仕立ての良いスマートなスーツから、デニムのオーバーオールになった感じがします。ツヤツヤキラキラしたオーバーオールかもしれませんが、オーバーオールには違いありません。
ディスプレイに関しては、去年OnePlus 7 ProとかPixel 4とかにリフレッシュレート90Hz化で先を越されてしまったためか、Samsungはいち早く120Hzを取り入れました。僕的にはこの「120Hz」という設定は、一般的なスマホの60Hzと、前のめりなPCモニタの300Hzとか360Hzの間のちょうどいい中間点な気がします。リフレッシュレート向上による滑らかさとかヌルヌル感を言葉で説明するのは難しいんですが、何秒か触ってオプションで切り替えながら確認してみると、歓喜で涙できるくらいです。
ただ残念なのは、120Hzモードにできるのは解像度をFHD+以下に設定した場合のみで、MaxのQHD+、3200×1440に設定してるときは使えません。
Samsungによればこの制限はバッテリー消費を抑えるためってことで、たしかにそれは理解できます。でもPixel 4でやってるみたいに、解像度を変えないままコンテンツによってリフレッシュレートを自動的に切り替えるみたいなことができたらよかったなと思います。
でもS20 Ultraの6.9インチディスプレイは、どの解像度でどのリフレッシュレートでも、魔法のように美しいです。707ニットのピーク輝度は素晴らしいし、とくにVividモードではすべてがリッチで、パンチの効いた色が飛び出してくるようです。Samsungはもう長年最高のモバイルディスプレイを作り続けていますが、S20 Ultraはまさにその面目躍如といった感じです。
音に関しては、S20 Ultraは下部の大きなスピーカーとディスプレイ上部のイヤピースでパワフルなステレオサウンドを実現しています。中くらいサイズの部屋で音楽をかける分にはまったく問題ないですが、音質はGalaxy S10とかNote 10とそんなに変わってないです。
ラップトップよりメモリが大きいスマホなんか意味ない、って意見をネットではよく見かけます。でも実際は意味なくない、というかやっぱりすごく快適です。
スマホのメモリが大きすぎるのを嘆くのは、フェラーリの最高速度が速すぎてそんなの使わないって憤るようなものです。15万円もするからには、それなりのスペックが必要ですよね。もちろんFacebookとかTwitterといったアプリを使うだけならそれほど負荷がかかりませんが、巨大メモリが役立つ状況はたくさんあります。
メモリが12GBもあると、アプリをリロードしなきゃいけなくなることはほとんどなく、アプリの切り替えもサックサクです。あとは『PUBG Mobile』とか『Call of Duty Mobile』みたいなヘビーなゲームをする人も、これだけメモリがあれば複数のゲームを開いておくことができ、今まで閉じたり開いたりにかかってた時間を短縮できます。そしてゲームを開きまくっていても、ゲーム以外の部分でのパフォーマンスに影響が出ません。
このメモリとQualcomm最新のSnapdragon 865、128GBのストレージ(お金を足せば512GB)、microSDスロット、米国での3バージョンの5Gサポート(サブ6GHz、2.5GHz、ミリ波)が合体することで、どんなキャリアでも使える5G対応超速スマホの完成です。
ただし、5Gのパフォーマンスに関しては、スマホというより使っているネットワークのほうが制約になります。Verizonのミリ波5Gで使ってみたときは、ニューヨークで500Mbpsから1.2Gbpsを優に超える速度が出てました。ただVerizonの5Gが使える場所はまだわりと限られてて、テスト場所は屋外、ニューヨークのブライアントパークやマディソンスクエアガーデン周辺だけでした。
その後、違う5Gネットワークを試すべく、6GHz帯を使うT-MobileのSIMに入れ替えたところ、速度は60Mbpsから100MbpsとVerizonよりだいぶ遅くなりました。ただVerizonと違い、T-Mobileのほうがニューヨークのいろんなところで使えて、ビルの28階にある米Gizmodo編集部の中でもつながりました。
S20 Ultraのスペック、ちょっとやりすぎでしょうか? まあたしかにそうかもしれませんが、なにしろ15万円超えなんで、やりすぎるくらいじゃないと気がすまないのではないでしょうか。こんなにあっても使わない、って思う人もいるかもですが、たとえばGalaxyスマホをパソコン的に使えるDeXモードとか、なんだかんだでパワーを有効活用できる状況が出てくるはずです。
1億800万画素のメインカメラと4800万画素の望遠カメラ、1200万画素の超広角カメラに4000万画素のセルフィーカメラ、おまけにToFカメラまで付いてくるS20 Ultraは、スマホカメラ史上もっとも多くのピクセルを詰め込んでいるかもしれません。
S20 Ultraのカメラは、デフォルトでは巨大な1億800万画素のレンズを使ってシャープなディテールの写真を撮り、9画素を1画素にまとめるピクセルビニング技術によって、暗い環境かつナイトモード不使用でも明るくカラフルな写真が撮れます。
ナイトモードにして3秒とか4秒もじっとしてられる余裕は実際なかなかないので、暗くてもパッときれいに撮れるのはS20最大の強みのひとつと言えるでしょう。暗い劇場でPixel 4 XLと撮り比べたところ(下の1枚目)、S20 Ultraの写真は明らかにシャープで、背景の石のタイルみたいな細かいディテールをよりよく捉えていて、粒子感も抑えられていました。
Samsungは写真のクオリティではGoogle Pixelの後塵を拝してきたし、iPhone 11 ProではAppleにも差をつけられてました。S20 Ultraでも、あらゆる条件下で大勝利とまではいかないんですが、少なくとも2社に肩を並べ、場合によっては上回ることができるようになりました。
iPhone 11との比較では、S20 Ultraでストリートアートを撮ってみました(下の4枚目)。Samsungのスマホカメラは鮮やかな強い色と相性が良く、下の写真では壁の質感のディテールもよりよく捉えています。次にPixel 4との比較で大量の抹茶を撮ったとき(同10枚目)は、S20 Ultraのほうが露出が良く明るい写真が撮れました。ただホワイトバランスはPixel 4のほうが良く、抹茶のダークグリーンもきれいに出ていて、S20 Ultraのほうは若干黄色っぽく見えます。以下、スライドショーで見てみてください。
S20 Ultraのナイトモードには良い意味で驚かされました。セントラルパークでの暗めなショットが、落ち着いた風景写真になりました(上の2、3枚目)。iPhone 11やPixel 4と比べても、シャープさやディテールという意味でおおむね並んでました。
ただSamsungのクセとして、とくに暗いときには黄色が強く出る傾向があり、S20 Ultraでもそのクセが出てました。
もっと明らかな欠点もありました。まず、オートフォーカスがロックするまでに意外なほど時間がかかること。そしてナイトモードで、なんで?ってくらい強烈に黄色くなるケースがあることです。ただSamsungが引き続きカメラを改善・調整していくと言っているので、3月6日の正式ローンチまでには改善するかもしれません。
次に4800万画素のSpace Zoomはすごく楽しく使えて、ちょっと笑っちゃうくらいです。100倍ズームは4倍光学ズームと画像処理の融合による10倍「ロスレス」ズームと、10倍デジタルズームの組み合わせなんですが、1倍から10倍までのクオリティは見ての通りすごいです(下の1〜4枚目、7〜9枚目)。画像は手持ちのときでさえシャープでディテールが豊富で、光学ズームが2倍までのiPhone 11 ProとかPixel 4よりきれいです。
でも10倍から100倍への拡大は単にデジタルズームでクロップして大きく見せてるだけで、きれいに見えるような画像処理はありません。なので10倍以上にすると明瞭さやシャープさが失われていきますが、25倍とか30倍くらいまでは多少のぼやけが気にならなければ使えるレベルと思います(下の5枚目、10枚目)。
が、30倍以上にするとだんだん印象派っぽくなってきて、100倍になるともう気分はクロード・モネ(同6枚目)。20倍以上では三脚がないと手ブレが出るし、三脚を使ったとしてもシャッターボタンを押すだけでブレにつながるので、タイマー撮影がベストです。
S20 UltraにはSingle ShotモードとかSuper Steady動画、Live Focus写真・動画といったカメラ機能が無数にあり、そのへんはややニッチだったりギミックっぽかったりはします。でもそれも含めてカメラ全体でみれば、今あるスマホの中ではもっとも万能なカメラだと思います。
さらに8K動画撮影が可能なのもナイスですが、8Kディスプレイもなければネイティブの8Kコンテンツを見てる人もいないので、8Kはクロップする前提で4K撮影の補完として使う感じが良いと思います。
あと、僕自身はあんまり自撮りをしないんですが、S20 Ultraの4000万画素前面カメラにも良いところがあります。これまでのGalaxy Sシリーズで自撮りすると、顔がややソフトすぎ、肌が滑らかすぎになりがちで、絶対オフできない美形化フィルターがかかってる感じでした。でもS20 Ultraではフィルター感がなくなり、ちゃんと顔がくっきり撮れて、欠点までもきちんと見えてました。やっぱりちょっとだけフィルターかかってたほうがよかったかも、と思うくらいです。
スクリーンサイズと5G対応を考慮すると、S20 Ultraのバッテリーが5,000mAhなのは納得です。動画連続視聴テストでは、S20 Ultraのバッテリーは14時間41分保ち、去年のGalaxy S10+の15時間9分よりほんのちょっと短い程度でした。5Gがもっと広く使えるようになってバッテリーをどんどん使うようになっても、1日中保ってあまりあるという安心感ができました。
ただひとつ大事なのは、120Hzモードをオンにする場合(オンにすることを強くお勧めしますが)、使い方によって1〜2時間早くバッテリーを消費してしまうってことです。何時間もInstagramのフィードをスクロールし続けたりした場合、通常よりバッテリー消費が早いかもしれません。
とはいえ僕が使ったときは120Hzモードオンで朝7時から夜12時までヘビーに使っていても、1日の終わりにはバッテリーが15%とか20%以上は残っていました。
充電に関しては、S20 UltraはUSB急速充電をサポートする初めてのスマホです。今いろんな充電規格があって、いろんな団体がそれをまとめようとしてますよね。
S20 Ultraには25ワットの急速充電器が付属してきて、15分で5%から31%までチャージできたので、半日分くらいの延命になりそうです。どうしても1秒でも速く充電したい人のために、S20 Ultraは45ワットでの充電もサポートしてはいますが、かかる時間は25ワットと大して変わらないのでマストではないです。
去年のGalaxy S10と同じく、Qiワイヤレス充電も最大15ワット、リバースワイヤレス充電は最大9ワットで可能です。他のスマホだとここまで速いものがほとんどなく、リバースワイヤレス充電はせいぜい最大5ワットです。
S20 Ultraには、ほかにもいろいろ新機能があります。たとえばAirDropのSamsung版ともいうべきQuick Shareを使うと、他のGalaxyスマホとファイルを簡単に送受信できます。ただこの機能が今使えるのはGalaxy S20シリーズだけで、僕は今回レビューしたS20 Ultra以外にはS20端末を持ってないので、ちゃんとテストできてないです。BluetoothでのMusic Share機能も同様です。
本当に、S20 Ultraについて気に入らない部分はほとんどありません。パフォーマンスは超速だし、スマホで見た中では最高のスクリーンだし、バッテリーも強力で、主要な5Gのタイプ3種類をフルサポートしてるので将来的にも安心です(といっても5Gがまだまだ初期なので、この安心感は当面だけかもしれませんが)。
とはいえもちろん、合わない人もいるとは思います。たとえばスクリーンの大きさとか、分厚くて重いボディとか、ややそっけないスタイリングとかを好きになれない人はいると思いますが、このへんはどっちにしろ人それぞれです。S20 Ultraは、誰よりも早く最高のハードウェアを載せるというSamsungの得意技を出しきっています。カメラの多少の問題を解決できれば、S20 Ultraは他のベストなスマホカメラとも完全に肩を並べられることでしょう。
ただ最後に、S20 Ultraの唯一最大の問題は価格です。1,400ドル(約15万円)という価格を見て(他のS20ファミリーも含めて)いくらなんでも厳しいんじゃないかなと思ったんですが、レビューしてその良さを感じた今でもその懸念は残っています。
S20 Ultraは超強力で過剰なまでに輝かしい端末ですが、このスマホに(またはどんなスマホにも)1,400ドル払う気が起きなかったとしても、それはまったくロジカルな反応です。S20 Ultraは本当に、高すぎます。S20 Ultraをすごく欲しがってた人が結局別のものを買ったとしても、しょうがないと思います。
・S20 UltraはAndroid 10とSamsungのOne UI 2.1搭載、非常に使いやすいです。
・Space Zoomは100倍にすると現実的には使えないですが、10倍まではすごく良いし、30倍までにしても許容範囲です。
・Galaxyスマホでは、ヘッドホンジャックは廃止されたみたいです。
・米国で使える5Gは全部サポートしてるので、どのキャリアでも使えるはずです。
・6.9インチ・120Hzの有機ELディスプレイは本当に魅惑的です。