まず、自分の職場にはどのような書類があるかリストアップしましょう。
その書類が本当に必要かそうでないかを仕分けたうえで、必要と判断したものについては、電子化するか、紙で残すか決めます。この際、どこから電子化するか、判断が求められます。一気にペーパーレス化できれば理想的ですが、その分負担も大きくなります。そのため、高い効果が期待できる部分から徐々に着手するのが現実的と言えるでしょう。その書類が、従業員にとって「ペーパーレス化されていて助かった」と思えるものかどうか、考えてみてください。一方、企業側としては、コスト削減のインパクト、代替手段の確保のしやすさ、秘密保持の必要性なども考慮したいところです。
たとえば、①会議資料をペーパーレス化することで、会議のたびに参加者分の資料を印刷・配布する手間とコストが削減できます。資料はパソコンやタブレットで参照してもらいましょう。②企業のパンフレットやカタログをペーパーレス化し、外出先からでもアクセス可能な場所に格納しておけば、営業担当者はパソコンやタブレットを持ち歩くだけで済みます。掲載内容の更新も容易です。③過去の企画書や契約書などをペーパーレス化し、いつでもどこからでも閲覧可能にしておけば、アイデアを思いついたときに先例を確認でき、よりよい企画が生まれるかもしれません。
ペーパーレス化後は、必然的に、紙とは違った発信・管理方法となります。効率よく文書をやり取りするために、業務プロセスも含め見直します。たとえば、社内稟議その他の申請を電子化するなら、紙による回覧からワークフローシステムへの移行が考えられます。
ペーパーレス化しても、書類が整理されていなければ意味がありません。ファイル名のつけ方、保管場所、共有範囲、保存年限などのルールを明確にしておきます。また、過去文書の電子化に際しては、書類サイズ、解像度、ファイル形式なども統一しておくことが望ましいです。
ペーパーレス化は、今回は在宅勤務をはじめとするテレワークをスムーズに行うためには不可欠ですが、他にも、
・紙の保管スペースを削減できる・検索性の向上や、ファイリング作業の減少により、業務効率が上がる・紙代や印刷代、郵送代といったコストが削減できる・紛失・情報漏洩のリスクが減らせる
といったメリットがあげられます。
ただし、手間と時間がかかりますし、変化を嫌う従業員が抵抗したり、取引先の理解が得られにくかったりすることがあるかもしれません。また、ネット環境やデバイスの不具合の影響を受けやすくなるというデメリットもあります。保管方法についても、情報セキュリティ強化の観点から、特に機密性の高い書類について、インターネット環境から切り離したサーバーへの保管や、従業員の端末にダウンロードできない仕組みも検討する必要があります。
以上を進めるにあたっては、方針を明確にし、計画的に取り組みましょう。現場の従業員の意見を聴き、必要に応じてITリテラシー向上に向けたトレーニングも実施したいものです。