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誰にでも「明日、会社に行きたくない」という気持ちになることは、一度や二度、あるのではないでしょうか。特にゴールデンウィークや夏休み、年末年始休暇明けなどに、ふと、そんな気持ちになった経験、覚えがありますよね。けれども、この気持ちが頻繁に沸き起こる場合は、対処が必要かもしれません。そもそも、「会社に行きたくない」と感じてしまうのはなぜなのでしょうか。このネガティブな気持ちや心理的ストレスは、どうすれば改善できるのでしょうか。ベストセラー『ストレスフリー超大全』の著者であり、YouTubeチャンネルでも人気が高い精神科医、樺沢紫苑(かばさわ しおん)さんにお話を伺いました。
「会社に行きたくない」理由の大半は、「人間関係」です。会社員が職場の問題でストレスを感じている場合、人間関係を原因とするケースが9割と言われています。話を聞いてみると、「自分は上司に嫌われている」「仲間外れにされている」などと悩んでいる方が多いですね。ただ実際は、本人の思い込みによることが少なくありません。一方、仕事の悩みでは、「頑張っているのに評価されない」「頑張っているのに成果が出ない」という声も多く聞かれます。「中小企業の人事評価の悩み・課題」に関するある調査によると、「現在の会社での自分の評価」について、約半数が「低い」と答えているそうです。評価されず、重要な役割を任されないため、仕事にやりがいを持てていないのです。
人間関係の問題は多岐にわたりますが、ストレスを抱えやすい人に多い特徴として、「皆と仲良くしなければならないと思っている」傾向があります。職場にはいろいろなタイプの人がいるので、すべての人と仲良くするのは不可能だと言っていいでしょう。自分の周りに10人いた場合、自分を嫌っている人は必ず1人はいる。自分を好きで味方になってくれる人は2人いる。あとの7人はどちらでもない。私はこれを「好意の1対2対7の法則」と表現しています。例えば20~30人の職場であれば、あなたを嫌う人が3人いたとしても気にすることはありません。「人間関係がうまくいかない」なんて、誰にでも当てはまること。逆に言えば、あなたを嫌う人の2倍は好意を持ってくれる人がいるのです。「職場の人間関係」は、一時的で一過性の人間関係です。あなたの人生において、さほど重要ではありません。職場にあなたの悪口を言ったり、常にマウンティングしてきたりする人がいたとしても、家にまでついて来ることはありません。自宅に帰ってからも「今日、あんなこと言われた」と思い出して悩むのは、自分の中で仮想の「攻撃星人」を作り出し、招き入れているようなものなのです。最も重要な人間関係は、家族や恋人、パートナー。次に友人です。その人たちと過ごす時間を楽しみましょう。大切な人とリラックスした時間を過ごせれば、ストレスのほとんどは解消できます。とはいえ、会社に行けば、攻撃星人はやはり気になる存在ですよね。攻撃星人に対する最も効果的な対処法は、「ありがとう」と言うこと、そして親切にすることです。攻撃星人は愉快犯ですから、相手が怒ったり反論したりするほど喜び、さらに攻撃を強めます。だから、あなたは満面の笑みで「ありがとう」と言ってください。さらにできるだけ「相手のためにできること」「相手のためになる親切」をしてください。親切にする人・される人、両方に愛情物質の「オキシトシン」が分泌されます。相手の中であなたへの好意度が高まり、攻撃することができなくなります。