一見魅力的な製品だが、果たして買って大丈夫と言えるのか。製品チェックに秀でた識者が良しあしを一刀両断する連載「ザ・ジャッジ」。今回は、アマゾンが開発する格安タブレットのセットモデルを検証する。
※日経トレンディ2021年7月号の記事を再構成
タブレットのセットモデル「Fire HD 10 Plus エッセンシャルセット」(アマゾン)をテスト[画像のクリックで拡大表示]昨今のタブレット市場はアップルのiPadがかなり強く、Androidタブレットの売れ行きが芳しくない。製品数もここ数年でどんどん減っている。そんな中で元気なのが、アマゾンの「Fireタブレット」だ。
もともと動画配信のAmazonプライム・ビデオや電子書籍のKindleなどを楽しむためのタブレットで、格安で買えるのが特徴だった。OSは、Androidを独自にカスタマイズした「Fire OS」を搭載する。「コロナ禍で、自宅で動画コンテンツなどを楽しみたい人が増えた影響もあり、出荷台数は順調に伸びている」(アマゾンジャパン Kindle・Fire Tablet・Accessories事業部の清水文弥事業部長)という。
そのFireタブレットの大画面モデルが大きくモデルチェンジした。「Fire HD 10」(実勢価格・税込み1万5980円)と「同10 Plus」(同1万8980円)の2製品だ。共に画面は10.1型で、メモリー容量やワイヤレス充電への対応、背面の色などが異なる。
両製品に今回注目したのは、専用のBluetoothキーボードと「Microsoft 365」(旧Office 365)の1年間ライセンスが付属する「エッセンシャルセット」が選べるようになったから。安価なFire HD 10シリーズに、仕事でも使える可能性が出てきたのだ。
Fire HD 10のエッセンシャルセットは実勢価格2万4980円(税込み)で、同10 Plusでは2万7980円(同)。単体で3万8280円(同)以上するiPadよりも大幅に安い。これが仕事にも使えるなら、相当にお買い得と言える。今回は上位の「Fire HD 10 Plus エッセンシャルセット」を前提に、その実力をチェックしていく。
Fire HD 10 Plus エッセンシャルセット(アマゾン)実勢価格2万7980円(税込み)まずはタブレット単体の基本性能を確認する。数年前のFireタブレットシリーズはプロセッサー性能が劣っており、安かろう悪かろうという感も少々あった。アマゾンでも「Fireタブレットは、価格を含めて気軽に使えることを狙ったタブレット。最新のパーツを使った最高性能の製品を目指しているわけではなく、安定して動作すれば十分」(清水氏)との方針だ。それがこのモデルでは、CPUは基本的に同じだがメモリー容量が増えたこともあって、「少し遅いかな」程度の印象で利用できる。
また、画像や動画を見ていると、なかなか美しいディスプレーと感じる。画質は前モデルに比べてかなり上がっており、輝度は350ニトから400ニトへと明るくなり、コントラスト比も800対1から1300対1に向上。スピーカーは前モデルから変わっていないが、立体的な音響効果の「Dolby Atmos」に対応しており、音質・音量共に上々だ。映画などのコンテンツを見る端末としては十分な満足感がある。
なお、新モデルはデザインも良くなった。前モデルは、液晶周囲の縁(ベゼル)が短辺だけ太く、本体が細長くなり、野暮ったい印象があった。これが新モデルは全体の縁が細くなり、最近のタブレットらしい外観になっている。
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