テスラのサイバートラックに搭載された「サイバーランダー」の完成予想図。
人工知能とソフトウェアの会社がテスラのサイバートラックをキャンピングカーに変えるキット「サイバーランダー」を製造している。【全画像をみる】予約殺到！サイバートラックをキャンピングカーにするキットを見てみようストリームイットは、予約注文による売り上げがすでに1億ドルに達したと、12月8日に発表した。サイバートラックに合わせて製造・販売されるサイバーランダーの価格は5万ドル（約570万円）。サイバーランダーとはどのようなものか、見てみよう。
テスラ（Tesla）が生産予定のEVピックアップトラック「サイバートラック（Cybertruck）」についての話題は、2019年末の発表以降、静かになっていた。だがデザイナーたちは、その使い道を想像するのをやめなかった
Source: Insider
ランス・キング（Lance King）もその1人だ。彼は人工知能とソフトウェアの開発企業、ストリームイット（Stream It）のCEOで、同社は現在、サイバートラックを移動式の小さな家に変えるキットの開発・製造に注力している
本当の話だ。テクノロジー企業が、ピックアップトラックをキャンピングカーに変える「サイバーランダー（CyberLandrs）」を作っているのだ
何かと物議を醸しているサイバートラックの生産開始は、2021年から2022年に延期されたようだ。しかしそれはストリームイットが「すべてを強化する」ことを止められない、とキングはInsiderに語っている
キングが最初にこのアイデアを思いついたのは、サイバートラックを予約した際に、既存のキャンピングトレーラーなどがこの未来的なトラックのボディに合わないと気づいた時だった
RV業界は「この50年間、革新的なことをしてこなかった」とキングは言う。「この業界では、天才的なひらめきを得て、新しいRVが作られるということはないだろう。では『誰がそれをできるのだろうか』と考えた」
その答えがストリームイットのチームだとキングは言う
「そんなことができるのは、私の会社しか考えられない」とキングは言う。「我々はソフトウェアを開発し、人工知能も扱える。そして極めてクリエイティブだ。RVでもテスラに乗っているような体験ができるようにしたかった」
「真のテスラレベルのRV」にするには、他のテスラ車と同様に、人工知能や毎年のアップデートに対応した強力なソフトウェアが必要だ、とキングは考えている
新型コロナのパンデミックが始まった頃、社員を解雇しなくてはならない可能性もあったが、キングはチームをサイバーランダーの設計に専念させることにした
このプロジェクトに取り組むまで、同社はRV関連の仕事をしたことはなかったが、チームメンバーの多くはキャンピングカーでの旅行やキャンプを楽しんでいた
キングは、RV関連の仕事の経験がないことが、実は「大きな強み」になっていると言う
「テスラが自動車業界にいたとしたら、新たな自動車を開発することはなかっただろう」とキングは言う。「その業界に参入するだけで、視野が変わる。本当に新しくて他にはない製品を作るには、RV業界での経験があってはならなかったのだ、と我々は考えている」
今のところ、投資の成果は出ている
サイバーランダーは、2021年4月初旬に発表されるやいなや、瞬く間に人気を博したという
市場での成功を証明するために、最初の1カ月で100人から200人に興味を持ってもらうことを目標とした。しかし、実際には1000人が購入を決めたという
ストリームイットは2021年12月8日、サイバーランダーの予約注文の売り上げはすでに1億ドル（約110億円）以上に達したと発表し、Insiderもそれを確認した
Source: GlobeNewswire
2021年7月初旬に公開されたサイバーランダーの動画に、イーロン・マスク（Elon Musk）は「クール」とコメントし、お墨付きを得た格好だ
Source: Twitter
サイバーランダーの人気ぶりは、驚くには当たらない
というのも、最近の自動車業界ではキャンピングカーと電動ピックアップトラックという2つのトレンドが大きく成長しており、サイバーランダーはその2つの要素を取り込んでいるからだ
さて、約5万ドルの移動する小さな家、サイバーランダーを詳しく見てみよう。収納式の階段から、内部のリビングエリア、ベッド、バスルームへと続く
使用しないときは、ユニット全体をサイバートラックの荷台に収納できる。ポップアップするキャンピングカーのようなイメージだ
まずはキッチンから見てみよう。必需品はすべて揃っており、それらには最新のテクノロジーが駆使されている。例えば音声で操作可能なスマート水栓、冷蔵庫、磁器製のカウンタートップに内蔵された調理台、まな板と乾燥ラックが付いたシンクなどだ
キッチンのすぐ隣にあるリビングエリアには、音声やスマートフォンで操作可能な照明や温度調節機能があり、取り外し可能なシート、NetflixやApple TV+などのストリーミングサービスも視聴可能な32インチのスマートテレビが設置されている
この空間は、オフィスとしても利用できる。テレビはセカンドモニターとして、また折り畳み式のテーブルはデスクとして使える。さらに、サイバーランダーにはスターリンクの衛星アンテナも搭載されるため、インターネットへの接続も可能だ
また、リビングはベッドルームにもなる。シートを広げれば、ほぼクイーンサイズのベッドに変わる
ベッドの下にも、大人1人または子ども2人が眠れるスペースもある
この移動する小さな家には、床暖房や、シャワー、洗面台、トイレを備えたバスルーム、外からの視線を遮り、プライバシーを守ることができるスマートガラスなど、さまざまな設備が整っている
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これらの設備へ電力を供給するために、サイバーランダーはトラックのバッテリーの他、500ワットのソーラーパネルを使用する
サイバーランダーの重量は約540キログラムであることから、航続距離が5％の範囲で短縮することは避けられないと、ストリームイットは予測している
サイバーランダーを完全に展開すると、サイバートラックの最終的なサイズにもよるが、高さはおそらく約3.4メートルほどになる
まだ生産されていない車をベースにキャンパーをデザインするのは困難なことだが、サイバートラックのデザインは、発表当初から大きく変わることはないだろうとキングは考えている
また、すでにサイバーランダーのサイズを正確に再現したレンダリング画像が作成されており、最終的なサイバートラックのサイズに合わせて、デザイナーが簡単にサイバーランダーのサイズを変更できるようになっている
