スマートフォンやタブレットの進化は日々止まらず、Nintendo Switchやプレイステーション4などと並んでスマートフォンでもマルチ展開を見せるタイトルも珍しくはない。
そこで、本コーナーではスマートフォン・タブレットとコンシューマー機の両方で配信されている作品を実際にプレイし、その所感や表現の違いなどを比較していく。
今回取り上げるのは、ダンジョン探索とショップ経営の2軸で楽しめる『ムーンライター 店主と勇者の冒険』(以下、『ムーンライター』)だ。
本作はiOS、ニンテンドースイッチ、プレイステーション4、Xbox ONE、PC向けに配信されている。
今回はiOS版とニンテンドースイッチ版との違いを見ていく。なお、直下の画像はニンテンドースイッチ版だが、本記事では基本的にiOS版のスクリーンショットとともに紹介を進める。
【価格】 iOS:1480円(税込) ニンテンドースイッチ:2040円(税込) プレイステーション4:2040円(税込) Xbox One:2050円(税込)
【『ムーンライター』公式HPはこちら】
【Xbox ONE版購入ページはこちら】
『ムーンライター』とは ・ダンジョン探索ではクラシックな見下ろし型2Dアクションが楽しめる ・ショップ経営パートは客の反応を見て商品の適性価格を探すのがおもしろい ・装備品を集めてじわじわ強くなる成長感も味わえる
iOS版とニンテンドースイッチ版の違い ・iOS版には操作が簡易になるオートアタック機能が搭載 ・UIはそれぞれに最適化されており、使いやすさに大きな差はない ・本体価格はiOS版のほうが安い ・iOS版ではDLCが配信されていない
iOS版とニンテンドースイッチ版との違いを見ていく前に、まずは本作『ムーンライター』の紹介をしていく。
タイトルにもなっている“ムーンライター”とは、本業を終えた後に夜間も働く人を差す言葉だ。
その言葉通り、本作の主人公はリノカという集落でアイテムを販売する店主としての顔と、商品の仕入れも兼ねてダンジョンに潜り込む冒険者としての顔のふたつを持っている。
▲突如出現したダンジョンに人が集まり集落ができあがったが、帰らぬ人の多さにやがて集落は寂れていってしまった。
▲人々が集落を離れるなか、主人公である若き店主は閉鎖された迷宮を開放する夢を胸に冒険へと挑む。
ゲームとしても毎回形を変えるダンジョンに挑む見下ろし型2Dアクションと、変動する相場に合わせて商品の価格を設定するショップ経営、異なるふたつのジャンルを並行して遊んでいくことになる。
ダンジョンで商品となるアイテムを集め、それらを売ったお金で装備を鍛えてさらにダンジョンの奥深くへ潜り、貯まった資金でショップを拡充、集落の発展まで進めていく、というのが本作の主な流れだ。
いわゆるローグライク(ライト)系ではおなじみ、敵に倒されると回収したアイテムが消えてしまう緊張感ももちろん完備。
▲少しゲームを進めるとお金を払うことで脱出できるようになるが、あと少し潜れるはず……と欲張った結果痛い目を見ることも珍しくはない。ただし本作は所持品の一部は倒れても消滅しない親切設計だ。
ダンジョンの奥には巨大なボスも待ち構えており、高い体力に厄介な攻撃にとなかなか歯応えのある戦いを楽しめる。
装備が揃わないうちは苦戦させられるが、慣れればすべての攻撃を回避して撃破することも可能だ。
プレイヤー自身の成長によって攻略がスムーズになっていくのはアクションゲームの醍醐味とも言えるだろう。
▲ボスは強いが報酬もオイシイ。安定して倒せるようになれば店の売上も右肩上がりだ。
経営パートでは、ダンジョンから持ち帰ったアイテムに自分で価格をつけて販売していくことになる。
価格が適正かどうかは来店する客の反応を見て判断することになり(フキダシに表情が表示される)、お買い得設定のつもりが激怒アイコンを出されたり、逆に強気で設定した値段がお買い得扱いで脅かされたりと、この適正価格の見極めがなかなかにおもしろい。
▲各アイテムに値段を設定していく。序盤はひと桁、ふた桁の価格で売るようなものも多いが、冒険が進むにつれて価格も一気に伸びていく。
▲設定した価格に対する客の反応は記録されるため、逐一覚える必要はない。値段の修正はすぐに行えるので、大胆に設定して落としどころを見つけるのがポイントだ。
ショップ経営で集めた資金は、ショップや村の拡充、村に呼びこんだ人々からの買い物などに使うことになる。
序盤は装備品をひとつ買うのにも複数回の探索が必要だったりするが、装備が整うにつれてじわじわと強くなっていく成長感を味わえるのも本作の魅力だ。
▲本作にレベルの概念はないので、村を発展させ準備を整えていくことが攻略の糸口となる。
▲装備品は資金に加えて素材となるアイテムも必要なため、資金を集めるためにうっかり素材を売ってしまってお預けを食らうこともある。確認は、お大事に。
アクション性や適正価格の見極め、そして主人公の成長など、シンプルな楽しさが組み合わさった本作。
ドット絵が生み出す懐かしさもあり、スーパーファミコン世代の人や当時の雰囲気が好きな人はとくに楽しめるだろう。
ここまでの画像を見てもわかる通り、本作はドット絵で描かれているため3Dと違ってマシンパワーによるグラフィック表現の差異は大きくない。
やはり大きなポイントとなるのは、操作性の違いだ。と言ってもiOS版のバーチャルバッドでの操作に問題があるわけではなく、こちらに用意されているタップモードが独特の要素となっている。
▲バーチャルバッドは画面左側で移動操作、右側でアクション操作といった定番のスタイル。こちらは物理コントローラと比べてもそこまで大きな違いはない。
移動先をタップして移動、フリック操作で回避、敵やオブジェクトをタップして攻撃、といった具合なのだが、このタップモードではオートアタックを使えるのが大きな特徴だ。
その名の通り、オートアタックを有効にすると敵への攻撃が自動で行われるようになり、プレイヤーは主に移動や回避、回復アイテムの使用などに集中することになる。
▲タップモードではUIも若干変化。ボタンが減るぶんすっきりした画面になっている。
最初は「アクションゲームでオート……?」などと思ったが、オートアタックはあくまでオートアタック、自動でやってくれるのは攻撃だけだ。
本作は回避を怠るとあっさりダンジョンから叩き出されることになるので、オートとは言いつつもアクションゲームとしての緊張感は失われていない。
むしろ敵の攻撃モーションを見て回避することに集中するようになるため、物理コントローラやバーチャルバッドでの操作とはゲーム性自体に若干の変化が見られ、これはこれで楽しめるものになっていた。
攻撃をオートに任せて回避に集中できるぶん、アクションが苦手な人でも親しみやすくなる要素と言えるだろう。
▲個人的にゲームでオート要素が出てくると身構えてしまいがちなのだが、本作のオートアタックには好感が持てた。タッチ操作が推奨されているのも納得だ。
先ほどグラフィック表現での差異はないと述べたが、ビジュアル面にまったく差がないかと言えば、そうではない。
ショップでの価格設定画面をはじめ、各種UIはコンシューマー、スマートフォンとでそれぞれ最適化されている。
いかに載せるiOS版とニンテンドースイッチ版の商品設置画面、ショップアップデート画面、手持ちアイテム確認画面のスクリーンショットを見れば一目瞭然。
物理コントローラに慣れ親しんでいることもあり、個人的にはニンテンドースイッチ版のほうが若干触りやすいように感じたが、スマートフォン版でもとくに目立った不便はない。ここは好みの差だろう。
▼商品設置画面(以下、1枚目:iOS版、2枚目:ニンテンドースイッチ版)
▼ショップアップデート画面
▼手持ちアイテム確認画面
▲画面サイズの違いもあってか、各種メニュー画面のUIは大きく異なっている。単にマルチ展開をするだけでなく、こういった部分にもこだわりが見えるのは好印象だ。
基本的なゲームプレイではiOS版とニンテンドースイッチ版、そのほかのバージョンに差はないが、iOS版はDLCに関するアナウンスが出ていない。
iOS版以外ではDLC『次元の狭間』が配信されているので、ガッツリ遊びこみたい場合はiOS版以外を選ぶのがよさそうだ。
以上、『ムーンライター』の概要とiOS版、ニンテンドースイッチ版の違いを紹介した。
文中でも述べた通り、ゲームの違いとして大きいのはiOS版に用意されているタップモード、オートアタックの存在だ。
本作のアクション難度が特別高いわけではないが、アクションがあまり得意でない人や、移動中などのプレイで慌ただしい操作を控えたい人などは、オートアタックを使用できるiOS版を選ぶといいだろう。
操作モードはプレイ中にいつでも変更できるので、オートアタックを使ったプレイとバーチャルバッドでの手動プレイとを使い分けるのもアリだ。
一方で、物理コントローラで遊びたい、あるいはスマートフォンやタブレットよりも大きな画面で楽しみたい、そしてDLCまで楽しみたいという場合は、iOS版以外でプレイするのがオススメだ。
DLCの有無はあるにしても、本作のゲーム体験自体が大きく変わるわけではないので、何かしらの端末でぜひ『ムーンライター』をプレイしてみてほしい。
⇒【スマホとゲーム機どっちで遊ぶ?】バックナンバーはこちら