Google Chrome OSは、Linuxをベースに独自のウィンドウシステムを持ち、その上で主にChromeブラウザを利用してアプリなどを動作させる環境だ。ログインはGoogleアカウントを使用。自動アップデートにも対応しているのでメンテナンスも容易。基本的にネットに繋がっている状態で使用するため、この点がWindowsやOS X、Linuxとの一番の違いとなる。ただしオフラインに対応したアプリもあり、オンラインになった時、データを同期することも可能だ。そしてこのOSを搭載したノートPCの通称が「Chromebook」となる。
ChromeブラウザはWindowsやOS Xで使っている人であればご存じだとは思うが、拡張機能によっていろいろな機能を追加することができ、Chromeウェブストアで、拡張機能やアプリなどが公開されている。Chromeブラウザをベースとして、いろいろな(Web)アプリを動かすことが可能となり、クラウドに関しては、WindowsやOS Xなどとほとんど変わらない環境が構築可能だ。
例えば筆者が日頃仕事している環境は、Mac miniを2ディスプレイ構成で使い、正面にParallels Desktop+Windows 8.1、右側にOS Xを配置。後者は主にChromeが常駐し、「Google Apps」、「Office 365」/「Office.com」、「Facebook」、「redmine」、「feedly」、構築中のサイトなど、多くのタブが開いている。当たり前だが、これらは全てChromebookでも扱える。
また、クラウドストレージは、「Google Drive」、「OneDrive」、「DropBox」、「Box」を用途に応じて使い分けているが、これらもChromeブラウザからアクセス可能だ。極端な話、筆者の場合はChromebookを導入すれば、Windows側はPhotoshopと秀丸だけ動作させることになる。見方を変えると、ネットなしのオフラインでも使えるのはこの2つのアプリ程度。ネットに接続していないとどうにもならない環境で仕事をしていることに今さらながら気付く。そう考えるとChromebookは悪くない選択肢ではないだろうか。
今回手元に届いたChromebookは、日本エイサーの「C720」だ。主な仕様は以下の通り。
日本エイサー「C720」の仕様 | |
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プロセッサ | Celeron 2955U(2コア/2スレッド、1.4GHz、キャッシュ2MB、TDP 15W) |
メモリ | 4GB |
ストレージ | SSD 16GB |
OS | Google Chrome OS |
ディスプレイ | 11.6型(非光沢)、1,366×768ドット、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics、HDMI出力 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 2.0×1、USB 3.0×1、SDカードリーダ、HD対応Webカメラ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約8.5時間 |
サイズ/重量 | 288×204×19.05mm(幅×奥行き×高さ)/約1.25kg |
参考価格(米国) | 249.99ドル |
プロセッサはHaswell世代のCeleron 2955U。2コア2スレッドでクロックは1.4GHz。キャッシュは2MBでTDPは15Wだ。メモリは4GB搭載しているものの、Google Chrome OSが32bitか64bitかは不明だ。ストレージはSSDで16GBとなっている。
ここで面白いのはWindowsやAndroidとの違いだ。AtomとWindows 8.1の組み合わせや、AtomとAndroidを組み合わせたでは、ほとんどの製品がメモリ1~2GBなので、メモリ4GBは容量的に多い。逆にストレージ16GBはAndroidでも少ない方となる。OS自体のフットプリントはこの2つのOSと比較して小さいものの、実際の動作では多くのメモリを使うアーキテクチャなのだろうか。
ディスプレイは非光沢の11.6型。HD解像度(1,366×768ドット)でタッチには非対応だ。米国のサイトを見ると上位モデルがあり、それはタッチ対応となっている。外部出力用としてHDMIを1つ装備。
ネットワークは、有線LANがなく、無線LANとしてIEEE 802.11a/b/g/nを搭載。Bluetooth 4.0にも対応している。そのほかのインターフェイスは、USB 2.0×1、USB 3.0×1、SDカードリーダ、HD対応Webカメラ、音声入出力。この辺りは一般的なノートPCにありがちなパターンと言えよう。
サイズは288×204×19.05mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.25kg。11.6型のパネルサイズを考えると、軽過ぎず、重過ぎない平均的な重量だろう。バッテリ駆動時間は約8.5時間。
価格は小売していないので公開されていない。参考までに米国の販売価格を調べたところ249.99ドル。日本円に換算するとで約25,700円と、かなり安い。
前面。正面側面右側にステータスLED。パネル中央上にWebカメラ底面。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはない。上部左右のスリットの下にスピーカーを搭載左側面。電源入力、HDMI出力、USB 3.0、音声入出力キーボード。アイソレーションタイプの10キーなし。一番上がファンクションキー。Enterキー周辺の一部キーが小さい点が気になる右側面。セキュリティロックポート、USB 2.0、SDカードリーダ斜め後ろから見たところ。Chromeのロゴが目新しいキーピッチは実測で約19mm重量は実測で1,190gとスペックより少し軽いACアダプタは約90×65×22mm(幅×奥行き×高さ)/208gと、サイズのわりに軽い筐体はトップカバーのChromeロゴさえなければ普通のノートPCと見間違うほど標準的なデザインだ。質感は価格相応だが、チープと言うほどでもなく違和感なく扱える。起動やスリープ、シャットダウンはAndroidやiOSよりも速く、“爆速!”と言っていいほど。
正面側面右側にステータスLED、液晶パネル中央上にWebカメラ。左側面に電源入力、HDMI出力、USB 3.0、音声入出力。右側面にロックポート、USB 2.0、SDカードリーダを配置。Chromebookだからと言って特殊な部分はない。付属のACアダプタはサイズ約90×65×22mm(同)、重量208g。コネクタはミッキータイプだ。
11.6型でHD解像度の液晶パネルは、非光沢で映り込みも少なく眼に優しい。明るさ、発色やコントラストは良好だが、視野角は広くない。最近ではスマートフォンやタブレットでもIPS式で視野角が広いものが多く、それに慣れてしまっているため少々見にくい。コストの兼ね合いとは言え残念な部分だ。
キーボードはアイソレーションタイプで10キーなし。最上段はESCキー以降、ファンクションキーとなっており、順に、「戻る」、「進む」、「リロード」、「全画面」、「ウィンドウ一覧」、「明るさダウン」、「明るさアップ」、「ミュート」、「音量ダウン」、「音量アップ」、「電源」。また画面キャプチャはCtrl+ウィンドウ一覧で撮影可能だ(ただしログイン後のみの対応)。キーピッチは主要部分で約19mm確保されている。
気になるのはEnterキー周辺のキーの並びとキーピッチだ。特にBackSpaceキー左にある「\」キー、Enterキーの左下にある「む」キー、Shiftキーの左にある「ろ」キーは、キーピッチがほぼなく、実際非常に入力しにくい。超小型デバイスならまだしも、11.6型でフットプリントも広いため、もう少し一般的なレイアウトにして欲しいところだ。
興味深いのはIME関連で、スペースキーの左に「英数」キー、右に「かな」キーがある。これはMacと同じ配列であり動作も同じだ。このためMacユーザーであれば違和感なく操作できるだろう。またWindowsユーザーを配慮してか、左上に「かな/英数」キーもあるが、これは先のキーと機能が被るので廃止し、キーピッチがなくなっている「\」キーをほかのキーと同サイズにしてもいいのではないだろうか。
タッチパッドは物理的なボタンのない1枚プレートタイプだ。2本指の左右で戻る/進む、タップでプロパティ表示、上下でスクロールなど一般的と思われる操作にも対応し使いやすい。また動きも滑らか。上下スクロールに関して標準はWindows基準だが、設定でMacと同じ方向(Windowsと上下逆)にも変更可能だ。
発熱やノイズ、振動に関しては、試用した範囲では全く気にならなかった。サウンドはパワーもあり、カマボコレンジではあるものの、上も下もそれなりに鳴っており、音楽や動画を十分楽しめる。