──普段のイラスト制作時の作業環境を教えていただけますか?
てりィ:PCはiMacを使っていて、液タブはワコムの「Cintiq Companion Hybrid」、ソフトは「CLIP STUDIO PAINT」をメインに利用していて、ほかに「Adobe Photoshop」や「Adobe Illustrator」などを使っています。
──「CLIP STUDIO PAINT」がメインツールなんですね! それは意外でした。イラストのタッチからすると、「Adobe Illustrator」がメインツールなのかと思っていました。
てりィ:よく言われます(笑)。私のイラストは、主線がはっきりしていて、影もパキッと入った感じのものが多いので、そう思われる方が多いようなんです。
「CLIP STUDIO PAINT」をメインに使っているのには、もうひとつ理由があって、実は今イラストレーターという仕事のほかに、専門学校の非常勤講師として、学生にイラストの描き方を教えるというようなこともやっているんです。学生だと機材やソフトにあまりお金もかけられないこともあって、それなら「CLIP STUDIO PAINT」は導入しやすいだろうということで、学生に合わせて私も使い方を覚えているうちに、メインツールになっちゃったんですよね(笑)。
実は、<LAVIE T11>をこっそり学校に持っていって、学生にも使ってもらったんですよ。私よりめちゃめちゃ使いこなしてて、すごく評判が良かったです(笑)。
──それじゃあ、Android版とはいえ、今回の企画でも「CLIP STUDIO PAINT」で描いていただけたのは幸いでしたね。普段の環境と比較して、<LAVIE T11>での描き心地、作業のしやすさはどうでしたか?
てりィ:今回は、タブレットで描く、ということだったので、せっかくだしキーボードは付けずに描こうと思ったんですが、いつも使ってるショートカットがキーボードで使えなくなってしまったのが痛かったですね(笑)。もちろん、オプションのキーボードも用意されているので、ショートカットを多用する人はこれを付けたまま作業したほうがいいんでしょうけど。
その代わりと言ってはなんですが、拡大・縮小、回転などが指で操作できるのがほんとに便利でした。自宅の液タブでもついやってしまったくらいです。あと、描き手(右)側にツールパレットを置いてると、うっかり手で触って反応してしまうので、ツール類は全て左側に集めるなどの工夫をしました。タブレットで描かれてる作家さんは結構フレキシブルに設定されてるようですね。うっかり誤動作を防ぐために、指先だけ穴の空いた手袋を付けて描く方もいらっしゃるようです。
色塗りは肌の色や、木の色など、決まっている色から。構想段階では細部の色までは決めておらず、全体のバランスを見つつ、その都度決めていく。色塗りは基本的にバケツ塗りで、線画で囲まれた範囲に同じ色を流し込んでいくスタイル
どの色を乗せるかは、カラーピッカー上でペンを動かし、感覚的に色を決めていく
彩色レイヤーはあまり細かく分けず、1枚のレイヤーに塗っていく。このあたりは、人それぞれで、1枚のイラストに何十枚とレイヤーをつくる人もいるが、てりィ氏は比較的少ないほうなのだとか
一番濃い影を黒でベタ塗りするのがてりィ氏流
──今回のイラストの制作には2時間半くらい掛かっていますが、普段と比べて時間がかかりましたか?
てりィ:同じくらいかと思います。操作に不慣れな部分もあり、録画しているという緊張感もありで、集中して描けた分、相殺されているかと。普段は脱線が多いので(笑)。
──では、イラストを描く上で、<LAVIE T11>の最も気に入った点はどこですか?
てりィ:手軽さですかね。このイラストにも描きましたが、ソファに座って手に持ちながらリラックスした姿勢でも描けることです。描きたいと思った時に描けるって、相当よいと思います。
──ご自身の仕事にも使えそうですか?
てりィ:全行程は厳しいかも知れませんが、段階的に使えると思うし、うまく使い分けられれば時短になるかなとも思います。あと、姿勢を変えたいときとか。
ラフ案など思いついた時にすぐ描けるクロッキー帳のような使い方はできそうですよね。色も付けられるし、あわよくばそのまま完成まで流れでできるかもしれません。
あとは、寝っ転がりながら仕事ができる(笑)。お家時間が長くなりがちな昨今、作業しながら場所を手軽に変えられるのはいいですね。気分転換にもなると思います。
──<LAVIE T11>は、どういった方におすすめできそうですか?
てりィ:コストパフォーマンスがいいので、パソコンはないけど、デジタルの絵を描きたいって方や、絵を描くことを志している学生や初心者の方。プロの中でも移動や出先でも時間を見つけて描きたい人、あと私のように寝っ転がって描きたい人ですかね(笑)。
また、価格を知った時は、びっくりしました。ノートやタブレットが欲しいけどちょっと手がだせない人とかとても買いやすいし、使い勝手もよいのではないかと思います。
先程も申し上げたとおり、私は専門学校の講師もしているのですが、実際に自宅に作業環境がない学生にも勧めました。普通にすらすら描けますし、カメラやマイクも付いているからリモート授業もこれで受けられます。コスパ重視のイラスト作成用タブレットが欲しいとか、他にどうしても欲しい機種があるとかでないなら、<LAVIE T11>はおすすめです!
影のレイヤーも細かく分けない。同じトーンの影は1枚のレイヤー上で塗っていく
ハイライト
縮小して全体のバランスを確認。細かく彩色してあるオブジェクトもあれば、まだ色が決まらないものもある。ソファーの色は最後まで決まらず。
決めかねていたソファーの色がようやく決まる
最後に、<LAVIE T11>の文字をTシャツに描き込んで完成!
主なスペック | |
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機種名 | LAVIE T1195/BAS |
CPU | Qualcomm® Snapdragon™ 730G (2.2GHz)、8コア |
メモリー | 6GB |
ストレージ | 128GB(UFS) |
ディスプレイ | 11.5型ワイド(2560×1600ドット)、有機EL |
通信規格 | 無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth® テクノロジー本体内蔵(Ver5.0) |
カメラ(フロント) | 有効画素数約800万画素、カラーCMOSカメラ、固定フォーカス+有効画素数約800万画素、IR CMOSカメラ、固定フォーカス |
カメラ(リア) | 有効画素数約1300万画素、カラーCMOSカメラ、オートフォーカス+有効画素数約500万画素、カラーCMOSカメラ、固定フォーカス |
インターフェース | USB Type-C 3.1(Gen1)、microSDカードスロット |
サイズ/重量 | およそ幅264.3×奥行171.4×高さ5.8mm/約485g |
プラットフォーム | Android™ 10 |
(提供:NECパーソナルコンピュータ)