【ソウル=細川幸太郎】韓国LG電子は11日、世界初となる画面が伸び縮みする新型スマートフォンを公開した。薄くて曲げられるパネルを使うことで、「折り畳みスマホ」に続き、新たに「巻き取りスマホ」という分野が生まれる可能性がありそうだ。
米コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)のLGのオンライン記者会見の演出で、およそ10秒間ほど試作機を披露した。スマホのブランド名は「LGローラブル」としたものの、具体的な発売時期や製品機能の詳細については触れなかった。
LG電子が事前に開発者向けに公開したものによると、巻き取って収納できる有機ELパネルの技術を活用し、画面サイズで6.8インチから7.4インチへと広げられ、面積比では5割程度大きくなるという。
サムスン電子がけん引役となって「折り畳み型スマホ」の製品ラインアップが広がるなかで、LG電子としてもスマホ分野で新機軸を打ち出す狙いがありそうだ。
LG電子は2019年のCESで、世界初となる巻き取り可能な有機ELディスプレーを公開。20年10月に巻き取り型テレビ「シグニチャーOLED R」を発売した。想定販売価格は1000万円程度と購入者は限られるものの「世界初」を打ち出すことで自社の技術力を示してきた。スマホ向けにも同技術を応用することで、パネルの拡販にもつなげたい考えだ。
またスマホのほかにも家電操作などの機能を持つ自社アプリ「LG ThinQ(LGシンキュー)」に食材購入機能を追加すると発表した。スイスのネスレや米クラフト・ハインツといった世界の食品大手と協業を始め、アプリ機能の利便性を高めるという。家電のハード面の性能だけでなく、ソフトウエア分野を拡充するため異業種との連携を進める。
LG電子の權峰奭(クォン・ボンソク)最高経営責任者(CEO)は「顧客がより良い生活を送れるように我々の革新の旅は続く」と語り、感染症の影響で在宅時間が長くなるなかで「家で求められる安心・便利・楽しさの価値を見直した」とした。
グループ会社のLGディスプレーも同日、自社の有機ELパネルの技術を使った透明ディスプレーの用途開拓を進めると発表した。消費者向けのテレビに搭載するほか、飲食店での仕切り板に情報提供パネルとして活用してもらうほか、鉄道車両の窓部分に透明ディスプレーを使って広告や路線図などを表示する用途を紹介した。