今や携帯ゲーム機も無線LAN機能を内蔵する時代。ノートパソコンでは会社・家庭で使われる省スペース機からモバイルノートまで、無線LAN機能を搭載していない製品は皆無、と言えるまで普及した。
しかし拠点から一歩外に出ると、状況は大きく遅れている。商業利用での無線LANホットスポットは、駅や空港、ファーストフード店を中心にサービスされているが、残念ながら利用可能なエリアが非常に限られるのが現状である。今でこそWiMAXなどの次世代公衆ブロードバンドサービスが登場しているが、いまだ大都市周辺の限られた場所でのアクセスとなってしまう。また、利用するには機器ごとに、WiMAX通信機能や通信アダプターを用意しなければならない(無線LANルータータイプの製品もあるが)。
多くの機器が標準装備する無線LANを使って、広いエリアでつなげられるブロードバンドサービスはないものなのか? その声に応えたのが、3G携帯電話のインフラを使う超小型の無線LANルーター「Pocket WiFi」だ。今回は、ソフトバンクモバイルが提供する新製品「C01HW」を試してみた。
「Pocket WiFi SoftBank C01HW」。面積はほぼ名刺大。厚みも約14mm、重さも80gとポケットに気軽に入れておける。表面がシルバーとブラック、裏面がホワイトのカラーリング
正直なところ、C01HWを手にした当初は、どのような働きをする機器なのか見当もつかなかった。ポータブルオーディオプレーヤーにも見えるコンパクトな機器であり、ポケットどころか手のひらにもすっぽりおさまる名刺大、重さもわずか80gの製品だ。
操作スイッチは右側面に。左から電源ボタン、LAN接続のオン/オフ、WAN接続のオン/オフ。いずれも2秒の長押しで動作。左側面にはマイクロSDカードスロット(最大16GB)を用意、パソコンとの接続時にUSBメモリーとして利用できる
下部にはパソコンとの接続用のminiUSBコネクターを装備。内蔵バッテリーへの充電もUSBコネクターから行なう(ACアダプターも付属)
C01HWは無線LANアクセスポイントとルーターを兼ねた無線LANルーターである。一般的に無線LANルーターといえば、WAN側を光ファイバー回線やADSL回線などのブロードバンド回線に接続し、LAN側を802.11b/g/nといった規格に準拠した無線データ通信で接続するものだ。C01HWも無線LAN側はそれらと同様の構成だが、WAN側には3G携帯電話網を使う。
本製品はもともと、イー・モバイルのデータ端末メーカーとして知られる中国Huawei Technologies社(華為技術)が製造した「i-Mo」という製品をベースにしたもの。イー・モバイルでは以前から、同様の機器を販売している。ソフトバンクモバイル版のC01HWでは、利用可能エリアの広いソフトバンクの3G回線(下り最大7.2Mbps/上り最大1.4MBps)に加えて、イー・モバイルのHSPA回線(下り最大7.2Mbps/上り最大5.8Mbps)の、両方を使い分けられるのがメリットである。
裏蓋を開けると、専用バッテリー(リチウムイオン充電池)が見える。WAN側接続に必要なSIMカード装着スロットは、バッテリーの下に
WAN・LAN側の双方がワイヤレス接続となったことで、わずらわしいケーブル接続もなく、接続機器も選ばない。無線LAN機能さえ内蔵していれば、携帯ゲームであろうとスマートフォンであろうと、もちろん本格モバイルノートであっても自由に使える。ただし実質的な帯域の関係から、1台のC01HWに同時接続できる無線LAN機器は5台までとなっている。