NASAが、木星探査機Junoが6月に木星の衛星にフライバイした際に観測した電気的および磁気的データを可聴周波数にスライドさせた「ガニメデの音」を公開しました。
サンアントニオにあるSouthwest Research Instituteの主任研究員スコット・ボルトン氏は、このサウンドを「耳を澄まして聴いていれば、中ほどのところで音が高い周波数に急に変化するのがわかる」と説明。これは探査機がガニメデの磁気圏における複数の領域をまたいで移動した際の変化だと説明しています。また研究者のひとりウィリアム・カース氏は、おそらくそれはガニメデの夜の側から昼の側へ移動した際の変化ではないかとしています。
また、NASAのチームは木星の磁場に関する詳細なマップも作成しています。この木星の軌道上で5年に渡って観測してきたデータを比較すると、赤道上にある木星の磁気異常現象である「大青斑」が東に移動していることがわかります。これは1秒間に約2インチという速度で、約350年で木星を一周する速度だとか。一方、木星の写真で最も目立つ赤道付近の高気圧帯「大赤斑」は西向きに移動しており、約4年半で一周するとされています。
ボルトン氏はWashington Postに対し「これは木星の磁気が大気の影響を受けているのを見た初の例だ」と述べ、木星の「深層大気の活動が、我々の考えている以上にダイナミックであることを示している」と話しました。研究チームは木星の表面に見られる渦の高解像度画像も公開しました。この渦は地球の海に現れる渦にも似ており、大気の動きの兼ね合いで自然に発生するものと考えています。
こうした観測結果や研究結果は、木星の起源や太陽系の惑星の形成に関する理解を深めるのに役立つとされます。木星のような巨大ガス惑星は、太陽系が現在の姿になるのに大きく影響を与えたはずではあるものの、天文学者らはまだその詳細を完全に理解するには至っていません。
ボルトン氏は「われわれがどこからどうやってここに来たのか。木星はその物語において大きな部分を占めている」と述べています。