紙の本が増えすぎて、部屋に保管するスペースがなくなってきた。もう読まなくなった本を捨てるべきかどうか、考えても答えが出ない……。読書好きの人なら、一度はこのように悩んだことがあるでしょう。
自宅を図書館みたいにできれば理想かもしれませんが、なかなかそういうわけにもいきませんよね。「電子書籍よりやっぱり紙の本をもちたい!」という人も多いはず。
そこで今回は、本を「捨てる」「捨てない」で葛藤中の人へ、本を気持ちよく処分するためのヒントを3つご紹介します。
年に700冊以上読み500本の書評を書く“日本一の書評家(※)” 印南敦史氏は、処分すべき本を見極めたいなら、本棚を定期的にメンテナンスするとよいと言います。具体的には、次の2点を心がけるだけで、本を処分しやすくなるそうです。(※多様な分野の日本一認定サイト「日本一ネット」による)
背表紙が見えるようにする理由は、横倒しで雑多に置かれていることが多く、買ったことすら忘れがちな「積読本」を含めて、なんというタイトルの本をどれだけもっているか把握するため。
古い本から順に並べる理由は、古い本ほど処分候補となりえるからです。特に、ビジネス書など時代を反映した本は、古くなったものから積極的に処分してよいとのこと。よほどの稀少本でない限り「二度と手に入らない本」はないため、どうしても必要とのことなら、図書館で借りたり電子書籍で買ったりすればよいと言います。
このように本棚をメンテナンスする習慣は、特に「本を捨てられない人」にとって効果的だと言えます。
心理カウンセラーの大嶋信頼氏によれば、「本の仕分けをする」「読まない本を処分する」といった作業ができない人は、「完璧主義」の傾向にあるとのこと。
などと考えているうちに疲れて、完璧に納得できないならやらないほうがいいとなり、本の処分に挫折してしまうのです。
そんな人にとって、本をいきなり処分するのは気が引けても、並べ直す程度ならまだハードルが低く感じられるはず。まずは、本を処分しやすくするためにメンテナンスの習慣を身につけるところから始めてはいかがでしょうか。
“家族の片づけコンサルタント” として22年間でのべ約6,000件の家庭をサポートしてきたsea氏は、縦軸を「所有の目的」、横軸を「所有期間」とした2軸で、4つのセグメントに本を分類すると、自然と整理がしやすくなると伝えています。
(画像はダイヤモンド・オンライン|本の整理・収納が誰でも上手くいく「3つのルール」を参考に編集部で作成)
sea氏いわく、このうち定期的に手放すとよいのは「マイブーム」と「参考資料」。本を “循環” させる発想で、その本の役目が終わったら手放すという考えが役立つと言います。
段ボールなどを用意しておき、「参考資料」であれば情報収集が終わったら、「マイブーム」であれば1~2年に一度見直して “もういいや” と思えたら、その箱に入れていくといいそうですよ。
一方で「コレクション兼インテリア」「保存資料」は捨てられない以上、収納キャパシティの増加や定位置決めが整理のコツだとsea氏は述べます。
本の定位置決めに関しては、別の専門家のアドバイスも紹介しましょう。東大卒の整理収納アドバイザー米田まりな氏は、頻繁に出し入れすることのないコレクション本や長期保管資料は、箱に詰めてクローゼットにしまえばいいと言います。
手の届きやすい本棚に並べるのは、これから読もうと思っている本や、頻繁に読みたい本、もう一度読むつもりのお気に入り本だけ。加えて、精神衛生上負担になりかねない、借りた本や読む気がなくなった本は、返す・譲るなどして減らすことが最善とのこと。
こうして、お気に入りかつ必要な本だけを本棚に置くようにすれば、「捨てるか捨てないか」で悩むことは減るでしょう。
「本を整理するだけならまだしも、処分するのはやっぱり勇気がいる。捨てるなんて罪悪感すら感じる……」という人もいることでしょう。そんな人は、本の内容うんぬんよりも所有自体にこだわっているのかもしれません。
上智大卒の “ゆるミニマリスト” 浅川りか氏は、本を気持ちよく断捨離するために「自分の不安に目を向ける」ことを推奨します。
浅川氏は、かつて大量の本を断捨離した際、「本を捨てられない自分は、不安やコンプレックスをたくさん抱えている」と気づいたそう。将来が不安だから資格の本を買って勉強しよう、知識不足のままじゃまずいからビジネス書を買って読もう――本をもつことで、自分に足りない部分を補おうとしていたと言います。
「いつかは読まなくちゃいけない」という気持ちがかえって負担になっていると感じた浅川氏は、何度も読み返す約10冊以外はすべて手放したことで、ようやく心が軽くなったのだそうです。
「断捨離」提唱者のやましたひでこ氏は、「幸せを感じない本なら捨てるべき」だと伝えています。買って幸せ、所有することで幸せ、読んで幸せ。そんな幸せがない本は、手放したほうがいいとのこと。最後まで読まなくても罪悪感を覚える必要はないと述べます。
あなたにも、仕事に活かせるかもと買ってはみたものの読みきれていない資格の本や実用書が、本棚に眠っていませんか? 「この本を読まなければ自分には価値がない」という不安にとらわれるより、「読めて幸せな本」だけを残しましょう。
***本を「捨てる」「捨てない」で悩んでしまうのは、面倒な手間だけが原因でないことをおわかりいただけたと思います。ご紹介した方法をぜひ参考に、本を整理・処分してみてくださいね。
(参考)プレジデント ウーマン オンライン|心理カウンセラーが分析「完璧主義者ほど実は片づけができない」原因2つダイヤモンド・オンライン|年700冊よむ書評家の「本棚管理術」を大公開!WANI BOOKS NewsCrunch|日本一の書評家が辿り着いた「必要なもの」「必要ないもの」日本一ネット|書評執筆本数日本一ダイヤモンド・オンライン|本の整理・収納が誰でも上手くいく「3つのルール」東洋経済オンライン|大掃除で「書類と本の山」を徹底的に減らす方法CREATORS|本を断捨離!長い間本を捨てられなかった理由Forbes JAPAN|仕事机を「思考の宝庫」にする|1日5分からの断捨離 第3回
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