米国時間12月4日、Microsoftは同社主催のイベント「Microsoft Connect();」で、さまざまな製品やサービスに関する数多くの発表を行った。
筆者が特に注目したのは、Azureのデータやアナリティクス、AIに関する項目だ。今回の発表では、Azureの2つの魅力的なサービスに重要な発表があった。
まずはMicrosoftの「Cosmos DB」の話題から始めよう。NoSQLをネイティブにサポートするグローバル分散型のデータベースサービスであるAzure Cosmos DBは、以前から技術的には魅力的な存在だったが、多くの顧客にとっては最低利用料金が大きな壁になっていた。
今回の価格改定では、コンテナのプロビジョニング済みスループットの最小RU(要求ユニット)が1000RU/秒から400RU/秒に引き下げられた。これは、最低料金が月額60ドルから月額24ドルに引き下げられたことを意味する。
Microsoftは、データを複数のコンテナに分割している顧客などのためにスループットを共有する仕組みを導入しており、データベース単位でのスループットのプロビジョニングがこれにあたる。今回の改訂では、データベース単位での最小RUも400RU/秒に変更された。こちらは、以前は1万RU/秒が最小単位だった。
つまり、複数のコンテナから構成されるCosmos DBデータベースの最低料金が、月額600ドルから月額24ドルに引き下げられたということだ。さらに、プロビジョニング済みスループットのスケールアップ/ダウンの粒度も、(コンテナ、データベースを問わず)100RU/秒(月額6ドル)に引き下げられた。以前は最小粒度が1000RU/秒だったことを考えれば、文字通り桁違いに小さくなった。
一方、AI関連では、「Azure Machine Learningサービス」の一般提供開始(GA)が発表された。
Azureの最初の機械学習サービス(現在は「Azure Machine Learning Studio」と呼ばれている)は、機械学習用の一種のビジュアル開発環境だった。このソリューションは技術的な難易度がかなり高く、Microsoft独自の技術であり、コードとの相性も悪いため、これを最大限に活かすためにはいずれにせよデータサイエンティストが必要になるにも関わらず、データサイエンティストにとっては魅力を感じにくいものだった。
しかし、今回一般提供が開始されたAzure Machine Learning(Azure ML)サービスは、ほぼあらゆるPythonの開発環境に対応している。Pythonはデータサイエンティストに特に人気のある言語だ。データサイエンティストは、コマンドラインからでも、「PyCharm」からでも、「Jupyter Notebook」からでも、「Azure Databricks」のノートブックからでさえ、Azure MLの実験、データの準備、トレーニング、デプロイメント、モデル管理、装置の監視などを行うことができるほか、機械学習や深層学習のさまざまなアルゴリズムフレームワーク(PyTorch、TensorFlow、scikit-learnを含む)を利用することができる。
またAzure MLサービスでは、「Visual Studio Code」からのアクセスもサポートされている。実際、Visual Studio CodeにPython拡張機能をインストールしていれば、Jupyter Notebookの読み込みにも対応でき、エディタの中でmatplotlibの可視化機能も利用できるため、利便性は向上している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。