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やりがいを失わないために大切にしていること-柔軟な軌道修正が可能な社会へ(平松 まゆきさんコラム-第3回)

書かれた 沿って notbook

皆さん、こんにちは。弁護士の平松まゆきです。

いよいよ私のコラムも今回で最終回です。毎回お読みいただきありがとうございます。

前回は過酷だった司法試験受験時代についてお話しました。「華麗なる転身」とはまるで違ったということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

現在の私は、もうすぐ弁護士4年目を迎えます。この数年で感じたことは、なんといっても「弁護士は楽しい仕事ではない!」ということです。

映画やドラマでは、弁護士といえば痛快に敵を退治していく正義の味方というように描かれるので、そのようなイメージを持たれる方も多いかもしれません。

でも我々の仕事は、基本的には誰かのトラブルや争いごとを、代わりに背負う仕事。お会いする方々で、幸せいっぱいな人というのはほとんどいらっしゃいません。

ですから、弁護士という仕事が愉快で痛快だと感じたことは一度もないんですよね。

ですが「やりがいのある仕事」であることには間違いありません。

「楽しい仕事」ではないけれど、常に新たな事件や人々に出会い、人生の建て直しのお手伝いができる。その意味では、弁護士になって良かった、努力して良かったと心から思います。

さて、仕事に対するやりがいを失わないために、私が大切にしていることが2つあります。

1つめは「一生懸命だらけること」です。

おかげさまで仕事に恵まれ、毎日分刻みのスケジュールでとても激務なのですが、でもたとえば、今日は絶対に5時までに帰ると決めて集中し、5時を過ぎたら死んでも仕事のことは考えない!という日を作る。仕事のことが頭に浮かんで来たら、漫画のシーンのようにブンブンと頭を横に振って忘れる。なんだかアホらしいですが、リモートワークでどこにいても仕事ができる世の中だからこそ、完全に自分を仕事から切り離す時間を確保するように努めています。

ところがこれが主婦業、お母さん業となると、そうもいかないですよね。子どもを育て上げる、家を守るという大役を任されているうえに、1日も休みがない。世の中の考え方を変えていかなければならない、重要アジェンダだと思います。

2つめは、積極的に動物と触れ合って、「癒される時間を作ること」です。

難しい事案に直面したとき、相手方に辛辣なことを言われたとき、とても気の毒なのに法律では解決できないときなどは、私も落ち込みます。

でもひとたび動物に見つめられると、温かい気持ちがじわーっと溢れる。動物のパワーは本当にすごいです。

一度、依頼者の相談に、うちの犬を同席させたことがあるのですが、最初は緊張して入って来られた依頼者さんの顔もいっきにほころびました。ワンコながら真剣な面持ちで一緒に相談を聞いたり(というように見えた)、そうかと思えば依頼者の前でおならをしたりと、最後は大笑いしながらとても和やかな雰囲気にしてくれました。

今は駆け出しの弁護士でとても時間がないけれど、私はいつの日か、受刑者のペットを保護する活動をしたいと思っています。

 やりがいを失わないために大切にしていること-柔軟な軌道修正が可能な社会へ(平松 まゆきさんコラム-第3回)

これまで担当した刑事事件で、身寄りがなくてお金もなくて、たしかに悪いことをしてしまったけれど、でもペットを我が子のように一生懸命に育ててきたという方々に出会いました。刑事事件は多くが国選弁護(国が弁護費用を負担)なので、正直、自費でその方のペットの面倒まで見ていたら仕事になりません。弁護人の仕事としてペットの面倒まで見る必要はない、見るべきでない、という声もたくさん聞いてきました。

しかし私は、そこにある小さな命が放置されて消えていくということ、人間にとって信じられないくらいのヒーリング作用を与えてくれる存在をないがしろにするということに、どうしても耐えられません。私だけの問題ではなく、罪を犯した本人との関係でも、愛するペットが待っていてくれると思うと、それだけで更生意欲が湧くと信じています。受刑者の更生は、社会全体の利益になるのです。

最近は保護犬、保護猫活動も、以前に比べると盛んになってきてはいますが、不十分です。

私は将来NPOを設立して、受刑者或いは刑事事件の身柄拘束者に特化した保護活動ができないかと、夢を膨らませているところです。

というわけで「一生懸命だらけること」と、「癒されること」。

この2つを、弁護士としての仕事をするうえで大事にしています。

そして、人生100年時代。

休みと癒しは、この先の長い人生を心豊かに過ごすためには、誰にだって必要なのではないでしょうか。

ストレスフルな現代社会で疲れるのは当たり前だし、追いつめられることもあるかもしれません。

そんなときには、一生懸命だらけて、誰か何かに癒されてください。

何もしない、できない時期があったっていいじゃないですか。

私だって受験生のころは正直いって何も生まない存在でした。

でもだらけたり、癒されたりしながら、気が付いたらここまで歩いてきていました。その時間はきっとあなたの人生を軌道修正してくれるはずです。

固く考えず、のんびり行きましょう!

⇒平松 まゆきさんコラム「柔軟な軌道修正が可能な社会へ」第2回を読みたい方はコチラ

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平松 まゆき(ひらまつ まゆき)

弁護士、元歌手

1976年大分県生まれ。1989年、東鳩(現:東ハト)オールレーズンプリンセスコンテストでグランプリを受賞し、芸能界デビュー。CM、ラジオ、イベント等への出演を経て、1994年日本コロムビアレコードより歌手デビュー。TBS「世界ふしぎ発見!」テーマソングや柏レイソルのオフィシャル・チアリング・ソングなどを歌唱。芸能界で活躍する傍ら、大学受験を希望し立教大学に合格。2003年同大学大学院前期課程修了(文学修士号取得)後、外資系製薬会社に入社。弁護士を目指すべく2010年名古屋大学法科大学院に入学し、2013年同大学院修了(法務博士号取得)。2015年司法試験に合格し、2017年平松法律事務所を開設。

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