目次
2013年に創設されたヘリウム(Helium/HNT)は、世界初のP2Pワイヤレスネットワークを構築するプロジェクトです。IoT(モノのインターネット)向けLoRaベースのワイヤレスネットワークを所有し、ユーザーはその対価としてトークンを獲得することができます。
従来の方法によってデータを大量に消費し、デバイスをネットワークに接続することを目標とする場合、集中型ネットワークのようなケースではコストが高くなります。しかしHeliumは独自のルーターと電気代があれば、ネットワークを分散化することができます。SemtechのLoRaデバイスとヘリウム(Helium/HNT)の分散型オープンソースアプローチを組み合わせたネットワークを構築するヘリウム(Helium/HNT)を紹介していきます。
SemtechとはSemtech Corporationは、高性能アナログおよびミックスドシグナル半導体と高度なアルゴリズムの大手サプライヤーです。Semtech Corporation(Nasdaq:SMTC)は、Heliumと提携を発表しており、北米最大のLoRaベースのネットワークの1つを開発するための取り組みにおいて、P2Pワイヤレスネットワークを構築している。現在、ヘリウムネットワークはLoRaWANプロトコルと完全に互換性があり、8,000人以上のアクティブなソフトウェア開発者のLoRaコミュニティで利用できます。
参照記事:businesswire
2007年から始まったスマホ、SNS、クラウドが牽引したWeb2.0時代が進化を遂げ、VRやクラウドAIが牽引するWeb3.0の時代が訪れています。そして現在、Web3.0時代を牽引するIoT(モノのインターネット)は、人々の社会や生活を劇的に成長させてきました。
IoT(Internet of Things)とは、スマホやPC、自動車、家電、ウェアラブルデバイスなど身の回りのあらゆるモノがインターネットに接続され、情報交換がされる仕組みです。2020年から実用化される第五世代移動通信システム5Gによるインターネット回線の高速化などと関連して、新しい技術インフラの根幹となる概念として認知されています。
しかし、そんな新時代の技術インフラを支えるIoTですが、課題が多く残っているのも事実です。IoTには以下のような課題が挙げられています。
1. セキュリティの問題モノとインターネットが繋がっている状態の場合、外部から攻撃されるリスクに繋がります。これらの攻撃によってコンピュータウイルスやデータ改ざんなど、自分自身が知らない場所でセキュリティに大きなダメージを与えられることがあります。
2. プライバシーの問題モノや商品に自分に関する情報を提供していることから、プライバシー保護の面で大きな懸念を抱えています。例としてIoTによって自分の車がインターネットに接続されている場合、どの時間にどこを走っているのかという情報が保存されているため、車の情報から家の場所や、帰宅時間などのプライバシー情報が問題となる可能性が十分にあります。
3. エネルギー・電力の問題IoT機器やそれに繋がるデバイスが動作するにあたってほとんどのIoTデバイスは、ワイヤレス構造に設計されているため、「エネルギー・電力」は欠かせない存在です。各デバイスへの電力供給は複雑化しており、ユーザービリティの高い電力供給技術が必要となることから、最小限の電力でIoTデバイスを動かすことが課題になります。
このように世界中でIoTが主流になる一方で、様々な問題が浮き彫りになりつつあります。ヘリウム(Helium/HNT)は、これらの問題をブロックチェーン技術を活用して解決することはもちろん、従来のIoT環境よりも迅速かつ、低コストでインターネットに接続できるのです。
「Helium Hotspot(ヘリウム・ホットスポット)」がHeliumの最大の特徴と言えます。
Heliumのビジネスモデルは、ワイヤレスネットワークの構築を目的としており、「Helium Hotspot(ヘリウム・ホットスポット)」と呼ばれるハードウェアルーターを設置することによって、ユーザーはインセンティブとしてネイティブトークン「ヘリウムトークン(HNT)」を獲得することができます。
ヘリウムホットスポットは、低電力IoTデバイスがインターネットとの間でデータを送受信できるようにするP2Pワイヤレスネットワークです。ホットスポットを所有しているユーザーは、公開を提供するインセンティブとしてネイティブトークンである「ヘリウムトークン(HNT)」を獲得できます。
事業者やユーザーは、Helium Hotspot(ヘリウム・ホットスポット)を使用してどのようなことができるのでしょうか。先ほど少し説明したように、Heliumネットワーク上にはネイティブトークン「ヘリウムトークン(HNT)」が存在しています。インターネットとの間でデータを送受信し、このトークンを獲得するために必要になるのがホットスポットです。
企業や事業者、個人投資家やユーザーは、専門のルーターを購入し、Wi-Fi接続、ネットワークを共有することでHeliumのブロックチェーン上で生成されているネイティブトークンを獲得できる仕組みが採用されています。
ホットスポットは、近くにある他のホットスポットと接続されたときに包括的な接続を作成できるオープンソースのブロックチェーン技術を利用しています。各ホットスポットは最大10平方マイル(約26㎢)をカバーできるため、ホットスポットのホスティングに投資する人が増えるほど、ネットワークは大きくなります。
「Helium Tabs(ヘリウム・タブ) 」は、ユーザーが自由にモノやペットなどを追跡するためのシンプルな仕組みが採用さてています。この目的のために特別に構築された、まったく新しいワイヤレスネットワークである「People’s Network」を展開します。このPeople’s Networkは現在、745都市以上で展開されており、ホットスポットは全米に広がっています。
例として、ペットの首輪やバイクトラッカー、または互換性のあるモノのインターネット(IoT)デバイスが、Wi-Fiや携帯電話なしでホットスポットに接続し、インターネットにデータを送信することができます。
リアルタイムのネットワークはこちらからチェックHeliumネットワーク上には、ホットスポットを使用して獲得できる独自通貨ヘリウムトークン(HNT)がありますが、これはネットワークへの価値に基づいており、ホットスポットが実行する作業の量によって報酬の量も異なります。
ネットワークの作業は、Proof-of-Coverage(PoC / プルーフ・オブ・カバレッジ)と呼ばれるアルゴリズムによって検証されています。PoCに参加するには、エリア内に少なくとも300メートル離れた複数のホットスポットがお互いの範囲内に存在している必要があります(環境により最大数マイル可)。
ホットスポットでトークンを獲得する5つの方法1. Network Data Transfer(ネットワークデータ転送)ホットスポットは、ネットワークを使用してデバイスからデータパケットを転送し、転送されたデータの全体的なシェアに対して比例して報酬を受け取ります。2. Proof-of-Coverage(カバレッジの証明)ホットスポットはワイヤレスカバレッジを検証します。3. Witnesses(証人)カバレッジの証明と監視を報告します。4.Proof-of-Coverage(コンセンサスグループ)ホットスポットはトランザクションを検証し、新しいブロックを公開します。このコンセンサスプロセスに参加する可能性は、カバレッジの証明の参加に基づいて変化する評判スコアに基づいています。5.Challenges(課題)ホットスポットは、インターネットを介してターゲットグループのホットスポットへのメッセージを暗号化するために選択されます。これらの課題は、カバレッジの証明によってワイヤレスカバレッジを検証するために使用されます。
データクレジット(Data Credits)は、Heliumネットワーク経由でデータを送信するために使用することができる唯一の支払い手段です。ユーザーは、LongFiワイヤレスプロトコルを介してデータバイトを転送し、データクレジットをブロックチェーン取引手数料として使用することが可能です。
データクレジットを獲得するには、ネットワークユーザーがヘリウムトークン(HNT)を交換するもしくは、HNTの所有者から取得する必要があります。データクレジットに交換されたHNTは、「burn and mint equilibrium」という設計に基づいて循環供給から永久的にバーンされる仕組みが採用されています。
またデータクレジットの価格は、米ドル価格と連動して固定されており、プリペイド式携帯の通話時間や航空会社のマイルと同様、データクジレットは譲渡することができず、元の所有者のみが使用することができます。
独自通貨ヘリウムトークン(HNT)は、米国の大手仮想通貨取引所コインベース(coinbase)の上場候補としてリストされています。これまで多くの通貨を上場候補としてリストしてきたコインベースは、市場では大きなファンダメンタルになっています。
最近では2019年4月に設立された、デリバティブ取引(先物取引、オプション取引)を中心とした仮想通貨取引所FTXに、ヘリウムトークン(HNT)が上場しました。
仮想通貨取引所FTXの登録手順・使い方Helium Blockchain(ヘリウム・ブロックチェーン)は、新たなパブリック分散台帳であり、アプリケーションコアロジックをヘリウムネットワーク上で実行する効率的な方法を提供するためにゼロから設計されています。具体的には、独自のヘリウムコンセンサスを使用して検証される不変の追加専用トランザクションシステムを提供するプロトコルです。
また新たなコンセンサスプロトコルに加え、ヘリウムブロックチェーンはネットワークのセキュリティを向上させ、ヘリウムのIoTデバイスにワイヤレスデバイスを提供しているホットスポットの場所を暗号化して検証するために、コンセンサスアルゴリズム「Proof-of-Coverage(PoC / プルーフ・オブ・カバレッジ)」を使用しています。
Helium Blockchain API(ヘリウム・ブロックチェーン・API)を使用することで、同ブロックチェーン上に保存されているずべてのデータにアクセスすることができます。ヘリウムモバイルウォレットやパブリックなネットワークダッシュボードは全て、このヘリウムブロックチェーンAPIを使用することになります。
「Helium LongFi」は、LoRaWANワイヤレスプロトコルをヘリウムブロックチェーンと組み合わせて、どのLoRaWANデバイスでもヘリウムネットワークでデータを転送できます。要するに、LongFiとヘリウムブロックチェーンを組み合わせることによって、事業者は追加後世やサードパティのサポートを必要とせず、必要な数のデバイスをオンボードにすることができます。
またLongFiはローミング機能を提供し、マイクロペイメント(少額決済)トランザクションをサポートするため、ユーザーはゲートウェイやネットワークサーバーを展開する必要はなく、ネットワーク使用料に基づいた接続コストのみを支払うだけです。以下の図に示すように、LongFiはあらゆるデバイスのヘリウムネットワーク全体でスムーズなローミングを可能にするブロックチェーンベースのOUIメカニズムにより、標準のLoRaWAN展開を改善します。
さらにLongFiは、既存のLoRaWANデバイスと互換性があり、米国最大かつ最も信頼性の高いLoRaWANネットワークを使用できます。互換性のあるすべてのデバイスは、LongFiを使用して、世界初のP2PワイヤレスネットワークであるPeople’s Networkを介してデータを送受信できます。
helium.comより画像引用
Heliumは、Khosla Ventures、FirstMark Capital、GV(以前:Google Ventures)、HSB / MunichRe Venturesなど、世界の著名なベンチャーキャピタル(VC)企業から資金調達を完了させています。